派遣社員のなかには、その特有の働き方ゆえにうつ病になってしまう人もいるんです…。
ここ数年で、うつ病を発症する人の数は増加傾向にあります。
(引用元:厚生労働省「自殺・うつ病等対策プロジェクトチームとりまとめについて i)うつ病の現状」)
もちろん派遣社員も例外ではありません。
むしろ、正社員などとは違った特有の働き方ゆえに、うつ病を発症しやすいのが派遣です。
この記事では、派遣社員のうつ病の原因や、その対策についてご紹介していきます。
簡単に3分程度で読める記事になっていますので、ぜひご一読ください!
この記事の監修者
杉山 崇(すぎやま たかし)氏
神奈川大学教授・心理相談センター所長。「心」と「幸せ」を脳レベルで探求する脳心理科学者。「NHKニュース7」、「フジTVホンマでっかテレビ」などTV出演、『読むだけで人づき合いが上手くなる(サンマーク出版)』、『許す練習(あさ出版)』など著書も多数。臨床心理士・1級キャリアコンサルティング技能士。厚労省事業の委員なども務める。
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あらためて「うつ病」とは…?
そもそもうつ病とはどのような病気なのでしょうか。
分かりやすく説明していきます。
うつ病とは、過ごしている環境やその人の性格傾向などによって、憂鬱な気分になったり、食欲・睡眠欲・行動欲などが低下したりといった心理的症状が現れる状態のことをいいます。
通常は人間の自然治癒力によって、時間が過ぎるにつれて元気になっていきます。
ですが、時間が経っても症状が改善することがなく、むしろ悪化して生活への支障が大きくなったりすることもあります。
そうなると、仕事や家事、勉強などの社会的機能に影響が出てきてしまいます。
重症になってくると、日常生活や他人とのコミュニケーションすらままならなくなります。
(引用元:厚生労働省 こころの耳「うつ病とは」)
派遣社員がうつ病になる原因とは?
派遣社員はなぜうつ病になりやすいのでしょうか。簡単に説明していきましょう。
派遣社員には正社員と違い、契約期間があります。契約期間が終わるたびに新たな派遣先で働く人も多く、その都度仕事内容も変わっていきます。
このような「環境の変化によるストレス」はうつ病を発症させやすいといわれています。
また、派遣の契約期間は主に3か月単位で更新されていくケースが多く、長くても3年で派遣先を変えることになります。
短期間で派遣先での人間関係を構築しなければならず、しかも派遣社員を続ける限り、何度も繰り返されていきます。
正社員より立場の弱い派遣社員は、正社員のストレスの的となってしまうケースもあるようです。
このような「人間関係によるストレス」もうつ病を発症させるきっかけとなります。
嫌なことがあっても契約を切られてしまえば「収入なし」の状態になってしまう派遣は、その不安からストレスをため込んでしまい、精神的悪循環となってしまいがちなのです。
派遣社員の働く環境がうつ病を発症させやすい状況
派遣社員は、即戦力を売りとしているところが多いです。
ゆえに企業側から過度な期待をされることが多いです。
それが大きなプレッシャーを生んだり、ときにはその期待に応えられなかったときに会社内での劣等感を生んだりして、それらもストレスとなってしまいます。
性別もうつ病を引き起こすストレスを生むことがあります。
現に、派遣社員には女性のスタッフが多くいます。
結婚や出産、子育てなどがある女性にとって、自由に時間を調整することができる派遣はメリットが大きいためです。
そんな女性らは、男性と比べられることもしばしば…。
近年働き方改革による女性活躍推進法ができるなど、女性への仕事に対する見方が変わってきており、性別で比べられることも少なくなってきました。
ですが、まだそのような考えが残っているところももちろんあります。
そんな状況の中で、女性自身もまだ周囲の評価を気にしたり、気配りに気を使ったりする人がいます。
うつ病にならないための対策とは?
うつ病のリスクが高い派遣ですが、うつ病に対してどのような対策をすればうつ病を防げるのでしょうか。
3つ紹介していきます。
- 自身のストレスに気を付けて早期発見をする
- ストレスの軽減を考える
- 人に相談してみる
①自身のストレスに気を付けて早期発見をする
ストレスがたまってくると、身体に様々な症状が出てきます。
「最近寝ても疲れがとれないなぁ。」
「なんかイライラする…。」
「何にもしたくない…。」
他にも、過食もしくは拒食が進んだり、約束を守れなくなったりします。
このような変化に自分自身で気が付くようにしましょう。
職場では人間関係と慣れない仕事が大きなストレスになります。逆に言えば人と仕事内容のマッチングがうまくいくとうつ病はかなり予防できます。人も仕事も自由に選べないこともありますが、どんな職場の雰囲気や働き方、仕事内容が自分に合うのか、自己理解を深めることで予防できます。
②ストレスの軽減を考える
自身がストレスを抱えていることが分かったら、そのストレスを軽減できないか、少し考えてみましょう。
派遣の話で考えてみると、やはり仕事のストレスを軽減したいものですね。
例として、以下の方法が挙げられます。
- 時間の使い方に気を使って仕事を効率よく終わらせること
- 適度に休養をとり仕事時間とのメリハリをつけること
他にも「自分だけでこの仕事は処理できない」と思ったら、うまく断ったり、誰かに頼ってみたりするのもいいですね。
仕事のストレスは軽減できないと思われがちですが、案外方法はあるものです。
自分で調べたり、人に相談したりして、解決してみましょう。
③人に相談してみる
先程少し触れましたが、大きなストレスを抱えていたり、うつ病の症状が出始めていたら、信頼のできる人や専門家に相談してみるのもいいです。
ひとりで悩みを抱えてしまうのは、症状の悪化にもつながっていってしまいます。
また、信頼できる恋人や友達に相談すれば、気分のリフレッシュにもなり症状が改善することもあります。
企業によってはメンタルヘルスサービスなどをおこなっているところもあります。
少し恥ずかしいかもしれませんが、困ったときにはぜひ利用してみましょう。
うつ病になってしまったときの対応とは?
では、実際にうつ病と診断を受けてしまった場合どのような対応をすればよいのでしょうか。
3つ紹介していきます。
- 仕事を辞める
- 傷病手当金をもらえるか確認する
- リワーク支援を受けてみる
①仕事を辞める
まずは派遣社員にとっての大きなストレスの原因となる仕事を辞めてしまいましょう。
人によっては、仕事を辞めてしばらく過ごしたら、うつ病の症状が軽減するといったこともあるかと思います。
派遣の場合、仕事をやめて収入がなくなってしまうのは特に金銭的に大きな打撃となってしまうかもしれません。
ですが、身体が万全でないと働くこともままになりません。
派遣は体調が治ってからでも新たに始めることはできます。
まずはしっかり身体を休めることを最優先に考えましょう。
②傷病手当金をもらえるか確認する
金銭面に関する心配に少し触れていましたが、健康保険を払っていれば、傷病手当金を受け取ることができる可能性があります。
傷病手当金とは、病気休業中に被保険者とその家族の生活を保障するという制度です。
被保険者がけがや病気で働くことができない場合に、会社を連続で3日間休んだうえで、4日目以降から休んだ日に支給がされます。
また、金額は以下の計算のもと決定されます。
傷病手当金の支給される金額の計算式
「支給開始日の以前12ヵ月間の各標準報酬月額を平均し金額」
÷30(日)×3分の2
(引用元:全国健康保険協会 協会けんぽ 「傷病手当金」)
傷病手当金はうつ病にも適用がなされます。
精神科や心療内科などでうつ病を専門に見てくれる医師からの診断書を、派遣会社に「傷病手当を受けたい」といった旨を伝えるとともに提出すれば、対応してくれるでしょう。
自分が傷病手当を受けられるかどうか、ぜひ確認してみてください。
ストレスにしかならない仕事を辞めるのは有効な選択肢の一つですが、所属と未来の展望なくなることでうつ病がさらに重たくなる場合もあります。辞めることでより良い所属先の開拓ができるのか、その次の展望がみつかるのか、信頼できる人によく相談しながら考えてくださいね。
③リワーク支援を受けてみる
精神疾患を原因として仕事を休んでいる人に対して、職場復帰に向けたリハビリテーションをおこなう機関があります。
そこでおこなわれるのがリワークというプログラムです。
プログラムに応じ、決まった時間に施設へ通うことで会社への通勤を想定したリハビリをおこなうことができます。
リハビリ内容として、簡単なオフィス作業やうつ病を再発させないための疾病教育などがあります。
会社への復帰がスムーズにおこなえるように、是非検討してみてください!
(引用元:日本うつ病リワーク協会「リワークプログラムについて」)
まとめ~派遣社員のうつ病を考える~
この記事では派遣社員がうつ病になりやすい原因やその対策についてご紹介してきました。
簡単に記事の内容をまとめておきますね。
うつ病とは
- 過ごしている環境などによって、食欲・睡眠欲・行動欲などが低下などの心理的症状が現れる状態
- 通常は人間の自然治癒力によって回復していく
派遣社員がうつ病になりやすい原因
- 環境(職場)の変化が頻繁にある
- 各職場で人間関係の構築が必要
- 収入面での不安、ストレス
- 派遣先企業からのプレッシャー
- 性別間の隔たりによるストレス
うつ病にならないための対策
- 自身のストレスに気を付けて早期発見をする
- ストレスの軽減を考える
- 人に相談してみる
うつ病になったときの対応
- 仕事を辞める
- 傷病手当金をもらえるか確認する
- リワーク支援を受けてみる
うつ病は非常に辛いですが、うつ病を経験したことのない人にはなかなか共感・協力してもらえないというのが現状です。
うつ病で悩むようなことがあれば、まずは信頼のできる人に相談してみましょう。
そうすれば、適切に対応することができるようになるはずです。
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